独占取材 / TOP PLAYER INTERVIEW ⑦

編成の本質は
「仮説設定とその検証」
絶対的な公式はない。だからこそ探求する。
513,889,225TOTAL POWER
この連載では、これまで6人のプレイヤーにどう組んでいるかを聞いてきた。今回は少し違う。J-14サーバーのギルド「Lycoris」に所属するクッキー氏が語ってくれたのは、どう考えているかだった。
「その本質は仮説設定とその検証に尽きるのではないか」——編成という行為そのものについての、連載で初めての言語化である。
- プレイヤー名
- クッキー
- ギルド
- Lycoris
- サーバー
- J-14
- 統率レベル
- Lv.168
- 遺跡 到達階層
- 地下298階
- 総戦力
- 513,889,225
- 所持キャラカード
- 108枚(Lv.200が24体/完凸29体)
- 取材日
- 2026年9月16日
01プレイスタイル ──「リアルとネットの両立」
リアルが一番大事なので、そこに影響がでない範囲で。
編集部注
総戦力5.13億という数字の前提に、生活を崩さないという線がはっきり引かれている。この後に語られる編成論の緻密さと並べて読むと、限られた時間とリソースだからこそ考えるという順序が見えてくる。
第1部隊1.38億、第2部隊1.34億、第3部隊1.06億。上位3部隊が1億超で揃う
1.38億第1部隊
1.34億第2部隊
1.06億第3部隊
6,765万第4部隊
02師匠がいる ──「仮説設定とその検証」
パラ
ラボ
パララボ編集部
今の編成にしている理由を教えてください
クッキー
同じギルドにとても詳しい師匠がいらして、その方のご指南を仰いでおります。
その本質は仮説設定とその検証に尽きるのではないかと思いますし、育成と編成もこのゲームの楽しみの一つなのではないかと!
パラ
ラボ
パララボ編集部
仮説を立てて試してみたら、思っていたのと違った——そんな例はありますか?
クッキー
バトルのリプレイを1倍速で見返すと、「そっちじゃないでしょ!」みたいな予想外の攻撃をしたり受けたりしますよね。
こちらの想定外の動きをすることも多いので、逆に新しい発見があったりします。
編集部注 ── 検証は「1倍速のリプレイ」で行う
ここに検証の具体的な手順がある。1倍速で見返す——普通は早送りして勝敗だけ確認するところを、あえて等速で追う。そうして初めて「なぜその動きになったのか」が見える。
そして捉え方が独特だ。想定外の挙動を失敗として直すのではなく、発見として受け取っている。「そっちじゃないでしょ」と思った動きの中に、自分が考えていなかった挙動のルールが隠れている。仮説が外れた瞬間こそ、いちばん学べるということだ。
まろん氏も「抜けないときはリプレイを見て並び順を直す」と語っていた。上位勢は揃ってリプレイを見ている。違いは目的で、まろん氏が負けた原因を特定するために見るのに対し、クッキー氏は知らなかった挙動を拾うために見ている。
編集部注 ── 編成は「実験」である
仮説を立て、組んで、試し、結果から学ぶ。この連載で語られてきた具体的な編成論は、すべてこのループの出力だったと言える。
まろん氏は「抜けないときは戦闘ログを根拠に並び順を直す」と語り、ちゃんゆき氏は「睡眠型とスタン型を両方走らせて選ぶ」と語り、sora氏は「同じ戦力なのに負ける相手を真似る」と語った。全員が仮説と検証を回している。クッキー氏はそれを方法の名前として言い切った。
そして重要なのが、その営み自体を「このゲームの楽しみの一つ」と位置づけていること。強くなるための手段ではなく、考えること自体が遊びだという姿勢だ。
03編成の基準 ── エースの場持ちを最大化する
クッキー
各部隊で中軸となるエースを決めて、そのエースの場持ちを最大化するための編成を意識しております。
四則演算の解のような絶対的な公式や正解もないので、それを探求するのも楽しみだと思います。
パラ
ラボ
パララボ編集部
部隊ごとにエースを置くのは、どういう狙いからでしょうか?
クッキー
1日でゲームに出来る時間が限られている為、ギルド戦に重きを置いて編成しています。
各部隊が全てメイン部隊として活躍できるように、火力、デバフ、ヒーラーを均等に組み込み、さらに個人戦、遺跡でも効率良く戦闘が流れる用に配列してます。
編集部注 ── 「全部隊がメイン」という設計
なぜ部隊ごとにエースを置くのか。その答えがギルド戦にあった。
ギルド戦では複数の部隊が順に戦うため、弱い部隊があるとそこで崩れる。だから「各部隊が全てメイン部隊として活躍できるように」——火力・デバフ・ヒーラーを均等に組み込む。第1部隊から第3部隊まで1億超で揃っているのは、この考え方の結果だ。
さらに「個人戦、遺跡でも効率良く戦闘が流れる用に」と続く。一つの編成で複数のコンテンツを回す設計になっている。1日に使える時間が限られているからこそ、組み替えずに済む形を探しているということだ。
この連載では、かびおじ氏も「野望が仕事と重なるので防衛を厚くする」と語っていた。生活の制約が編成を決める——上位プレイヤーほど、その前提を正面から設計に組み込んでいる。
1部隊ごとにエースを決める全体で1枚ではなく、各部隊に中軸を置く
2そのエースの場持ちを最大化する残りの枠は、エースを長く立たせるために使う
3正解がないことを前提に探し続ける絶対的な公式はない。だから探求そのものが楽しみになる
編集部注 ── 「部隊ごとに」という単位
注目したいのは「各部隊で」という言い方だ。手持ち全体の最強を1枚決めるのではなく、部隊の数だけエースがいる。第1部隊から第4部隊まで1億前後で並ぶこの布陣は、その考え方の結果だろう。
場持ちを最大化するという表現も的確だ。この連載では、ちゃんゆき氏が「麗華を最後まで活かす」、ノリノリ氏が「サバイバーを確実に撃たせる」と語った。いずれもエースを長く立たせることが火力になるという同じ構造で、クッキー氏はそれを汎用の設計原則として述べている。
04黒子のコンビ ── ガード役とヒーラー
クッキー
エースを輝かせるための黒子の位置付けになりますが、ガード役とガードを回復させるヒーラーのコンビです。
このコンビがあれば、どのようなエースとも組めるので汎用性が高いかと思います。
ただ一撃で沈められては宝の持ち腐れになってしまうので、ある程度の育成は必要かと。
編集部注 ── 誰とでも組める2枚を先に用意する
この指摘は実用度が非常に高い。ガード役が攻撃を引き受け、ヒーラーがそのガード役を回復し続ける。エースは殴られずに済み、場持ちが伸びる。
そして決定的なのが、このコンビがエースを選ばないということだ。エースが変わっても、この2枚はそのまま使い回せる。先に汎用パーツを完成させておけば、あとはエースを差し替えるだけで部隊が組める——素材が慢性的に不足するこのゲームで、これは投資効率のいい考え方だ。
補足された「一撃で沈められては宝の持ち腐れ」も忘れてはいけない。黒子にも最低限の育成が要る。守る役が真っ先に落ちれば、その編成は成立しない。
05避ける編成 ── 睡眠と毒は混ぜない
パラ
ラボ
パララボ編集部
「この編成は避けている」というものはありますか?
クッキー
スリープパは毒と相性が悪いので、部隊として配置の意識、部隊編成には両特性を入れないようにしています。
スタン系のスキルとその効果は、私自身もう少し勉強が必要かと思います。
編集部注 ── 睡眠の扱いに、また一つの解
睡眠は弱いダメージでも解除される。毒は毎ターン継続ダメージが入る。同じ部隊に入れれば、自分の毒で敵を起こしてしまう。この問題への答えが、連載のなかでまた一つ増えた。
サイゼリヤ武蔵氏は「睡眠持ちに手を出さない」——育成の段階で切る。ノリノリ氏は「睡眠は睡眠で固める」——混ぜずに活かす。まろん氏は「最強班を睡眠染めにしない」——主力には置かない。そしてクッキー氏は「両特性を同じ部隊に入れない」——配置の段階で分ける。
切る・固める・主力から外す・配置で分ける。同じ性質に対して、四者四様の距離の取り方がある。
編集部注
そして「スタン系は私自身もう少し勉強が必要」と率直に述べている点も、この記事らしい。総戦力5.13億のプレイヤーが、まだ分かっていない領域を分かっていないと言う。02で語られた仮説と検証の姿勢は、こういうところに表れる。
06一番好きなキャラ ──「どれも気に入っています」
クッキー
パラノイズはキャラクターデザインが良いので、どれも気に入っています。
鳳梨麗華「夕立ちの迷子」
40,009,406/特殊アタッカー
編成データ5
第5部隊まで組まれている
07一番の楽しみ ── ギルド内での交流
クッキー
ギルド内での交流でしょうか。
ネットゲームはともすれば独りで画面と睨めっこする時間が長くなりますが、ギルド内では幅広い人材が参加しています。
ゲームと関係のない話題を気ままに自由なチャットができる上に、ゲームに関連した編成相談、新キャラ評価、野望クロス戦での戦略・戦術を和気あいあいと軍議できたりするので楽しいです。
皆さまお互いをリスペクトしているので、本当に素晴らしいギルドだと思います!
編集部注 ── 「独り」を「軍議」に変える場所
「ネットゲームはともすれば独りで画面と睨めっこする時間が長くなる」——この一文が、ギルドという仕組みの価値を正確に言い当てている。
編成相談、新キャラ評価、野望クロス戦の戦略。02で語られた仮説と検証は、一人でやれば孤独な作業だが、話せる相手がいれば軍議になる。師匠から指南を受けられるのも、この場があってこそだ。
この連載では、かびおじ氏も「攻防のタイミングを話し合うのが楽しい」と語り、ちゃんゆき氏も一番の楽しみにギルド交流を挙げた。総戦力の上位にいる人ほど、仲間との会話を挙げる——これは偶然ではないのだろう。
遺跡 地下298階(統率レベル169以上推奨)
08これから始める人へ ── 一点集中と、恩返し
パラ
ラボ
パララボ編集部
これから始める人へ、アドバイスをお願いします
クッキー
プレースタイルは十人十色だと思いますが、eサプリさんが高い評価を付けているSSRキャラを運良く引けたら、若しくは手持ちで好きなキャラがあれば一点集中で育て上げるのが良いかと。
パラノイズは慢性的な育成素材の不足になりがちですが、レイドや定期的に開催されるイベントでコツコツ集めていくのも良いかと思います。
私も始めたばかりの時にレイドキャリーをして頂いた諸先輩方への恩返しとして、他の方々に少しずつ返していきたいです。
編集部注 ── 受けた分を、次の人へ
前半は連載を通しての共通見解だ。一点集中で育て上げる——これで7人中6人が同じことを言っている。
そのうえで、最後の一文が印象に残る。始めたばかりの頃にレイドキャリーをしてもらったから、今度は自分が返していきたい。
強さの話をずっと聞いてきた連載だが、続いている人たちの根っこにはこういう循環がある。誰かに助けられて始まり、助ける側になっていく。ギルドという仕組みが機能しているのは、たぶんこの部分だ。
クッキーさんから学ばせてもらった8つのこと
- 編成は仮説と検証である「その本質は仮説設定とその検証に尽きる」。組んで、試して、結果から直す。そのループ自体がこのゲームの遊びになる。
- リプレイは1倍速で見返す早送りせず等速で追うと「なぜその動きになったか」が見える。想定外の挙動は失敗ではなく、知らなかったルールの発見になる。
- 絶対的な正解はない、と知っておく「四則演算の解のような公式はない」。だから探し続けられるし、探すこと自体が楽しみになる。
- 全部隊をメイン部隊にするギルド戦では弱い部隊があるとそこで崩れる。火力・デバフ・ヒーラーを均等に組み込み、どの部隊も戦えるようにする。
- 部隊ごとにエースを決める手持ち全体で1枚ではなく、部隊の数だけ中軸を置く。残りの枠はその場持ちのために使う。
- ガード役×ヒーラーを先に作るどのエースとも組める汎用コンビ。これがあればエースを差し替えるだけで部隊が組める。
- 黒子にも育成が要る「一撃で沈められては宝の持ち腐れ」。守る役が先に落ちれば編成は成立しない。
- 睡眠と毒は同じ部隊に入れない毒の継続ダメージが睡眠を解除してしまう。配置の段階で分ける。
取材日:2026年9月16日/取材協力:クッキー氏(J-14・Lycoris)/画像は掲載許可済み。数値はすべて取材時点のものです。
パララボでは、各サーバーのプレイヤーへの取材を継続して行っています。
📚 連載インタビュー一覧
👑 【第1回】総戦力7.08億「まろん」氏の編成思想
🍷 【第2回】最強を目指さない「サイゼリヤ武蔵」氏
🔥 【第3回】遺跡328階「かびおじさん」氏の編成
🏛 【第4回】戦力4億で遺跡317階「ちゃんゆき」氏
⚔️ 【第5回】基準は「かびおじさんに勝てるか」ノリノリ氏
🏆 【第6回】J-1遺跡1位「sora」氏の鯖環境から逆算する育成
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